私は双極性障害Ⅱ型および反復性うつ病性障害と診断されている。どちらとも取れる症状らしい。
そんな私がこの1年間で、うつ状態に陥った日は2日間。
9月は少し軽躁気味だったが、薬を調整し、生活態度を徹底して管理したことで生活に支障は出なかった。
以上のことから、私はこの1年間、ほぼ寛解状態(うつでも躁でもない状態)を維持していたと言えるだろう。
寛解を維持できているのは「日記を書いているから」というのが大きいと思われる。
日記を書いて読み返すことで心身の体調を把握し、管理に役立てられるからだ。
この日記の書き方を忘れてしまわないよう、備忘録として記しておく。
ブログ記事の形にしたのは「日記の書き方をシェアすることで、同病の方の何かの役に立てるかも知れない」と考えてのことだ。
双極性障害・反復性うつ病の方の参考になれば幸いだが、寛解には処方薬が症状に合っていること、ストレスの少ない環境で生活していることが大前提であることを留意していただきたい。
目次
日記の重要性
日記を書いておくと、自分のどんな行動が体調にどのような影響を与えているかを知ることができる。
「好調だったのに突然不調になった」場合、その不調は実際は「突然」ではないことが多い。不調になるような行動の積み重ねで不調になっているのだ。
例えば、私は今年の3月末にうつ状態に陥っているが、これは日記を読み返したところ、「料理を頑張って毎日一汁三菜作っていたことによる疲労の積み重ね」がうつの引き金になっていたのが分かった。
6月にうつになった時は、「副業を頑張りすぎたことによる疲労」のがうつの原因だったことを、日記を読み返したことで突き止めた。
人間の記憶力は曖昧で、自分では「上手く1日を過ごした」と思っていても、記録を振り返ると案外そうでもなかった、なんてことはよくある。
特に双極性障害・反復うつの人は、不調時(うつや躁の時)は不調時のことしか記憶になく、好調時(うつでも躁でもない時)は好調時のことしか記憶になかったりする。少なくとも私はそうだ。
生活を記録しておくと「うまく過ごせているつもりでいたけど実際は活動のしすぎて疲労を溜め込んでいた」とか、「ずっと気分が塞ぎ込んでいると思っていたけど、日記を読み返したら幸福を感じている日もあった」といったことが分かってくる。
自分のどんな行動が不調を呼び起こしているか、逆に、どんなふうに行動したら調子良く過ごせるのかが、日記を書いて読み返すことで分かるようになるのだ。
実際に私が書いている日記(2種類)
日記その1:他者に見せる予定のない日記
記録していること
実際に私が書いている日記の一部のスクリーンショットを、以下に掲載する(個人が特定されそうな箇所は黒く塗りつぶしています)。
こんな感じで、朝起きた時から寝る直前、就寝薬を飲むまでの1日の出来事・活動内容を時系列順に記録している。
これは「他者に見せる予定のない日記」なので、私以外の人間が読んで内容を理解できるような書き方はしていない。唐突に独り言が混じったりするのはそのためである。
あとで読み返した時に自分が理解できればいいので、文章の校正などはほとんどしていない。書き殴りである。
使用アプリは「10年日記」。このアプリはPCからでもスマホからでも入力・閲覧・検索ができる優れものだ。
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私は日々何か行動するたび、その内容を忘れないうちに、このアプリに「いつ・どこで・何を・どのくらい行動したか」を書き込んでいる。
「他者に見せる予定のない日記」なので何を書いてもいいのだが、「精神疾患を予防するための体調管理」として、特に以下のことを記録しておくように気をつけている。
- 起床時間(※1)
- 朝食を食べた時間(※1)
- 昼食を食べた時間(※1)
- 夕食を食べた時間(※1)
- 間食をしたかどうか(※1)
- 二度寝した場合はその時間(※1)
- 家事などの労働をしたかどうか(※2)
- ゲームや動画視聴などの娯楽をしたかどうか・長時間に及んだ場合はその時間(※2)
- 外出した場合、何時に外出したか(※2)
- どんな移動手段でどこへ外出したか(※2)
- どのくらいの時間、外出したか(※2)
- 買い物をしたかどうか(※3)
- 買い物をした場合、何をいくらぐらいの金額で購入したか(※3)
- 休んだり昼寝した場合はその時間(※2)
- 活動中・活動の前後に気分の落ち込みや上昇があった場合はその都度記載(※3)
- シャワーや入浴ができたかどうか(※1)
- 眠剤(睡眠薬・就寝薬)を飲んだ時間(※1)
- 何時頃に入眠したか(※1)
- 悪夢を見たかどうか(※1)
- 夜中に目が覚めたかどうか(※1)
- その他、急激な落ち込みや気分の上昇などの精神症状の有無(※3)
※1は「規則正しい生活ができているかどうかの確認」、※2は「どの程度活動できたか・適切に休息できたかの確認」、※3は「気分の浮き沈みや精神症状の確認」のために記録している。
ちなみになぜ買い物の金額を記録しておくかというと、躁っぽくなると金遣いが荒くなるからである。
全てを記録するのは大変なので、省略できるところは省略している。
例えば私の場合、洗濯にかかる作業時間はいつも40分ぐらいなので、洗濯に費やした時間は記録していない。
また、私は「起床直後に必ず朝食を食べる」という習慣が身についているので、朝食を食べた時間は「起床した時間と同じ」ということにしている。
他にも、私は「30分活動したら15分休む」ようにしているのだが、この15分の休憩もほぼ必ず実行できているので、記入を省いている。
このように、適度に手を抜きながら記録をつけている。
日記を読み返す
書いた日記は1日の終わりに、具体的には眠剤(睡眠薬・就寝薬)を服薬した直後に、最初から読み返している。
日記を読み返してみると「あれ? こんなことしたっけ? 覚えていないなあ」と感じることが多くある。
前述の通り、「うまく過ごせたと思っていたのに、日記を読み返してみたら『疲れているのに無理して活動していた』ことが多かった」なんてこともザラだ。
日記を読み返したら、その日の総括や評価を日記の末尾に書き加える。適切に活動・休息できたかどうか、躁っぽかったりうつっぽかったりしなかったどうかなどを書く。
実際に書いたものはこちら。
この総括は翌朝の朝食直後に、もう一度読み返している。
そうして、「昨日は休息が足りていなかったみたいだから、今日は活動は控えめに過ごそう」といった感じに、1日の行動の指針にしている。
1日のざっくりとした評価をマークで記しておく
1日の総括を書いたあとは「1日を通してのざっくりとした評価」を☆や△などのマークで表し、日付の横に記入している。
私の場合、以下のようにマークを記入している。
- ☆……うまく活動・休息できた日
- ○……普通
- △……鬱や躁まで行っていないけどちょっと怪しかった・注意が必要だった日
- ▲……軽めの精神症状が発生した日
- ★……最悪。希死念慮など強い精神症状が発生した日
マークを記入しておくことで、数日分の体調をざっとひと目で把握できるようになる。
日記その2:医師に直接見せるための日記
私は上記の「他者に見せる予定のない日記」を、「医師に直接見せるための日記」として更にまとめ直している。
これは「自分以外に見せる予定のない日記」の内容を簡素化して箇条書きにしたもので、週2日、訪問看護がある日に作成している。
以下が実際に私が書いている「医師に直接見せるための日記」のスクリーンショットである。
これを2週間分まとめたものを、月2回の通院日に、医師に直接スマホで見せている。
こうすることで、私の活動量や精神状態を医師に把握・評価してもらっている。
医師としても、このまとめは診察の役に立っているらしい。お礼を言われたことが何度かある。
ちなみにこのまとめは「Simplenote」というアプリで作成している。
Simplenote
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このアプリも「PCでもスマホで入力・閲覧・検索」が可能である。非常に便利なので重宝している。
また、この「医師に直接見せるための日記」は、週2回の訪問看護の際にも役立っている。
訪問看護師にこの「医師に直接見せるための日記」を見せることはないが、これを参照しながら毎日の体調・活動量を報告している。
そうして、訪問看護師と一緒に毎日の過ごし方が適切かどうかを振り返り、どう過ごしていくかを話し合っている。
うつの時はどう日記を書いているか?
うつの時は日記どころが文字を書くことすら困難なので、日記を書くのは難しい。
それでもどうにか、書けそうな時に走り書きでもいいから、分かる範囲・覚えている範囲で状態を記録している。
特に希死念慮が発生した時は記録が重要になるので、例えば夕方に希死念慮が発生した時は「夕方、死にたい」とだけでも書いておく。これだけでも重要なデータになる。
基本的に私は文章で日記を書いているが、うつの時や精神症状が出ている時に書く日記は、単語を羅列しただけのものになることが多い。
日記が体調管理に役立った例
適切な活動量が分かった
日記が役立った具体的な例として、「自分にとって適切な活動量が分かった」ということがある。
前述の「毎日料理を頑張って作り続けてうつになった」時は、料理を楽にできるよう工夫したことで、料理が原因の不調をなくすことができた。
「副業を頑張りすぎてうつになった」時は、副業にかける時間を1日1時間までに減らしたことで、副業による不調を回避できるようになった。
他にも、こんな例がある。
私はゲームが趣味でちょくちょくプレイするのだが、ゲームのし過ぎで体調を崩すことも多々あった。
そこで日記を読み返してみたら「2時間以上ゲームをプレイした日は躁っぽくなったりうつっぽくなったりする」ことが判明した。
そのデータをもとに「ゲームは1日90分以内でプレイをやめる」ようにしたところ、ゲームが原因でうつ・躁になることは無くなった。
また、ブログの執筆作業も同様で、作業に熱中しすぎた反動で具合を悪くすることがよくあった。
これも日記を分析して実際に試した結果、「ブログ作成関連の作業は1日60分以内まで」なら体調に影響しないことが分かった。
ちなみにゲームやブログ作業は集中しすぎて時間が分からなくなりやすいので、タイマーをセットして30分ごとに休憩するようにしている。
1年を通じての躁うつ・双極の気分の波が分かるようになった
他にも、日記を長期的に書き続けたおかげで、1年を通じての躁うつ・双極の気分の波が分かるようになった。
例えば、去年の日記、一昨年の日記、3年前の日記……と読み返すにつれ、「春はいつも軽躁気味」だとか、「夏から秋に変わる頃に混合状態になっている」といったことが見えてくるのだ。
具体的には私の場合、
「春から夏の間は好調だが徐々に軽躁気味になり、8月下旬から9月上旬にかけて躁っぽくなって、それを放置すると混合状態とうつ状態になる。
季節が秋に完全に変わった頃から徐々に回復し、冬は比較的安定。
冬から春に変わる3月頃、少しうつっぽくなる。
春になったら少しずつ好調になり、以後、同じパターンの繰り返し」
季節が秋に完全に変わった頃から徐々に回復し、冬は比較的安定。
冬から春に変わる3月頃、少しうつっぽくなる。
春になったら少しずつ好調になり、以後、同じパターンの繰り返し」
という傾向があることが判明した。
こうして1年を通じての体調の変化・気分の波の傾向を掴んだことで、対処がしやすくなった。
例えば私の場合、躁状態になりやすい9月には躁を抑える薬を増量することで、躁状態からうつ状態に移行するのを防げるようになった(躁になった後は必ずうつ状態になるので、躁状態の予防は非常に大事)。
まとめ
日記を詳しく書いておくと、躁状態・うつ状態になった時、それらの状態を引き起こした原因を把握しやすくなる。
日記はいわば、「自分だけのオリジナルの体調管理・分析ツール」なのである。
ただ、自分で言うのも何だが、私の日記は非常に詳しく書かれている。このまま真似をするのは難しいと思う。
この記事を読んで日記を書いてみようと思われた方もいるかもしれないが、書くなら、ご自身にとって無理のない形で始めてみるのをおすすめする。
例えば、文章で日記を書くのではなく、箇条書きで記録しておくなどすれば負担が少なくていいかもしれない。
日記は詳しく書いたほうがより有効なデータになると思うが、日記を書くことで疲弊してしまっては意味がない。
私は今の書き方で負担になっていないので、この調子で日記を書き続けていくつもりである。
今後も無理のない範囲で日記を書いては読み返し、自身をうまくコントロールしていきたいと思っている。
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